後世に伝えたい「ナイアガラ」的生き方 その②「ナイアガラレーベルって何?(中編)」
何かだんだん収拾つかなくなってきてるこのシリーズ。いつの間にか脱線してナイアガラレーベルの紹介になっちゃってますが、ひとまずこれは全うしたい。
前回は1970年代後半、大瀧詠一が無茶な条件で機材を借りて音楽制作にいそしむも、限界を迎えて一時撤退するところで終わり。
その後1980年、大瀧はコロンビアからソニーに移籍。あの歴史的名盤、「A LONG VACATION」の制作に取り掛かることになる。
後に名盤として語り継がれる本作も、発表当初の売れ行きは芳しくなかった。
というのも、夏をイメージさせる内容にもかかわらず、発売時期が1981年3月と、明らかに時季外れだったためだ。
これは、作詞を担当した松本隆の妹が亡くなったショックから詞が書けなくなり、アルバム制作が遅れたことによるものだ。
大瀧は失意の松本に「待つよ」といったという。
当初こそ低調だったものの、徐々に内容が評価され、1年後にはレコード、カセット合わせて100万枚という驚異的な売り上げを収めることになる。
さて、あなたが大瀧詠一だったとしよう(唐突)。
・バンドでデビューするも商業的な成功はできずにソロ転向。
・仲間とレーベル設立するも、これも全く売れずに撤退。
・苦節10年、満を持して発売したアルバムの売れ行きは絶好調。
あなたなら、「ロンバケ」の次は、どんな手を打ちますか?
普通なら「稼げるうちに稼がなきゃ」とばかりにシングル、アルバム、ツアーを連発、テレビにも出演して「黒柳ざぁ~ん(ダイノジ大地風に)」だろう。
当然、周囲も大瀧に対し「ロンバケⅡを!」という期待をかけた。
しかし彼が次に打った手は、「松田聖子のプロデュース」
と「佐野元春、杉真理とのユニットによるアルバム発売」だったのだ。
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 20th Anniversary Edition
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- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
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大瀧は元々、自ら前面に立つプレイヤーよりも、プロデューサーを志向していた。その一方で、この2作でのサウンドは、基本的にロンバケを踏襲したものになっている。
かくして、大瀧は「ロンバケⅡを!」という周囲の声と、自らのプロデューサー志向を、この2作で両方叶えることに成功した。
1984年、ソロ名義としては3年ぶりのニューアルバム、「EACH TIME」が発売される。
EACH TIME 30th Anniversary Edition
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なお、このアルバムの発売記念のラジオ特番(以前はYoutubeで聞くことができた)があるのだが、
・大瀧詠一の曲がどんなシチュエーションに「合わない」かを説明する
・大瀧の自宅に芸能レポーターが押し掛ける(というネタ)
・大瀧の見た目をネタにしていじる(演歌歌手っぽい)くだりがある
など、アホみたいな内容なので、何かの機会を捉えてぜひ聞いてもらいたいところだ。
彼の音楽活動は、このアルバムの翌年発売されたシングル「フィヨルドの少女」を以って、彼自身のものは「幸せな結末」までの12年もの間、途絶えることになる。
今回はこの辺にしといたるわ。(今回もまとまりのない文章だなぁ・・・。)