虎尾伴内の手帳 ~真夏の顔を持つ男~

ただしBREEZEは鼻から通り抜ける

ミュージシャンの政治的主張~ジョンレノン病という困った病気~

日本のお笑い芸人がしばしばかかる病気に、「森繁病」がある。

詳しい内容は小林信彦氏の「日本の喜劇人」をお読みいただくとして(実は筆者も絶賛取り寄せ中)、症状をかいつまんで説明すると・・・

日本の喜劇人 (新潮文庫)

日本の喜劇人 (新潮文庫)

 

 

ステージⅠ「僕は実はコメディアンじゃないんだ」とか言っちゃう。

ステージⅡ 受けていたはずの芸をすべて止めちゃう。

ステージⅢ 映画なんかに出て、性格俳優みたいな感じになっちゃう。

      (亜種として、映画監督をやる、チャリティーをやるっていうのもある。)

ステージⅣ 森繁やチャップリンみたいになろうとして失敗、人気を失う。

代表的な患者には、萩本欽一、ビートたけし、片岡鶴太郎、松本人志、太田光など。

要するに、お笑い芸人が、その存在意義たるお笑いを捨て、ドラマやったり、映画やったりチャリティやったりして、「感動路線」に走るさまを、そのパイオニアの名をとって「森繁病」と呼んでいるものである。

さて、お笑いに森繁病があるのと同じく、私は音楽の世界にも「ジョンレノン病」があると思っている。

レノン・レジェンド ― ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ジョン・レノン

レノン・レジェンド ― ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ジョン・レノン

 

これも、ミュージシャンが本分であるはずの音楽を捨てて、政治的な主張を始めたり、やたらとエコとか言いだしたり、なんかアートとか始めちゃうという病気だ。これをさっきの森繁病の症例に当てはめるとこうなる。

ステージⅠ「僕は実はミュージシャンなんかじゃないんだ(他にやりたいことがあるんだ)」とか言っちゃう。

ステージⅡ シングルのリリースペースが落ちる。または活動休止とかしちゃう。

ステージⅢ 政治的な主張や、環境保護、アート路線、チャリティ、ひどい場合は宗教にいっちゃう。(ジョンレノン病は、俳優化する症例の報告は少ない。)

ステージⅣ ジョンレノンみたいになろうとして失敗、人気を失う。

具体的な患者名を挙げると、坂本龍一(政治的主張・環境保護)、ミスチル桜井(政治的主張、しかし本人は否定)、斉藤和義(政治的主張)などか。最近はPerfumeもその兆候が見られる(過度なアート路線)。

逆にほぼ罹患していないのは、山下達郎ぐらいじゃないだろうか。

やっぱり、ミュージシャンも、芸人も、その根底には強い承認要求があるんだと思う。

人から好かれたい、認められたい、そして尊敬され、崇拝すらされたいと思う気持ちが止まらなくなり、いつまでも同じ音楽をやりつづけることがバカバカしくなってくるじゃないだろうか。

ファンが求めているのは、決してそんなものじゃないのにね。

あとAV女優が脱がなくなる飯島病、野球選手がやたらと年俸の話ばかりするようになる落合病とかも・・・

え?ジョンレノンがうちに来てる?じゃあこの辺で終わります。